2009年4月4日土曜日

1.稲葉慶和著「特許出願 新・拒絶理由通知との対話」 発行所(株)エイバックズーム

本書には、審査官との面接にあたっての心得が紹介されています。著者は元審査官で、現在は弁理士です。「向こう側」と「こちら側」の事情を知った上での「心得」ですので、非常に有用な情報です。

審査官との面接について、
「審査官も、判断を誤らないための具体的な情報が欲しいのです。」(337頁)。これは出願人や代理人にとって面接を行うかどうかや、面接に何を説明すべきかの検討にあたって、重要なヒントだと思います。判断を誤ってしまうと、審判、審決取消訴訟に進む可能性があり、特許庁にとっても出願人にとっても過大な時間・費用が必要になってしまうからです。

最近はFace to Face の面接や電話による面接をできる限り行い、誤解が生じないように努めています。

特許庁からの拒絶理由通知

特許出願をして、3年以内に審査請求をすると、特許庁の審査官が審査を行います。審査官は特許法および審査基準に基づいて、特許査定あるいは拒絶理由を代理人に通知します。拒絶理由通知に対して、放置すると、特許出願は拒絶査定となり、特許権を取得できなくなってしまいます。

代理人(弁理士)は、出願人と協力して拒絶理由を解消するために、意見書さらに手続補正書を提出します。しかし、その意見書および手続補正書の作成の方法論(中間処理の方法論)は、弁理士個人あるいは特許事務所のノウハウとして、弁理士全体に共有化されることはありませんでした。

その方法論をまとめた書籍として優れたものでは、例えば、
1.稲葉慶和著「特許出願 新・拒絶理由通知との対話」 発行所(株)エイバックズーム
2.佐伯とも子著「特許出願への拒絶理由への対応」 出版社:経済産業調査会
3.伊東国際特許事務所編 伊東忠彦著「特許明細書の書き方」 出版社:経済産業調査会
があります。体系的に学ぶには良書です。